インドではこの祈祷は非常に一般的な儀式で、特に家族で重い病気、経済的な損失、結婚の遅れ・縁談が進まない、仕事の障害など、長期間続く深刻な問題が続いている場合、多くの人がまず自分のクンダリ(出生図)を占星術師に見てもらい、「グラハ ドーシャ ग्रह दोष」(惑星の悪影響)があると判断されると、このプージャを勧められます。
都市部の忙しい人であれば2時間程度の簡易版もあり、私たちが受けた祈祷は5時間程で、前夜からパンディットや親戚が泊まり込み、供物の準備や当日に参加者に配る食料品の買い出しなど含めて2日がかりの行事でした。
私たちがこのプージャをすることになったきっかけは、家族・親族に生死に関わる病気が複数の間で同時発生したり、若い男性陣の縁談が無い・もしくは破談、親族の事業失敗などが連鎖して気力も擦り減っていたことがあり、信心深い義父が昔からお世話になっている山奥に住む霊能者に相談に行ったところ、このプージャをするように勧められました。
インド全国から相談者が訪れるほどの人らしいのですが、この方は占星術のほか、意思決定には特殊な能力というのか、相談者が持参した家庭に保管している米を一掴み手のひらに置いて、それを見てあれこれわかるらしいんですね。息子の嫁の日本の実家も大変なことになっていることまで言い当てられたそうで、だいぶ前から早くプージャをするように勧められていました。
ナヴァグラハの中で、特に土星とケートゥの状況が深刻で、それが目に見えて耐え難いレベルまできたので本気でナヴァグラハ シャンティ プージャをしましょうと義父の強い希望で親族が大集結しました。
よそに嫁いで行った娘には影響はないそうですが、バダーニ姓を名乗る人々には運命共同体のような波長の影響が互いに大なり小なりあるので、全員参加必須のかつてないプージャを行うことになりました。
これには、パンディトが最低5人必要でした。1人のパンディトはいつもお世話になっている方で、もう1人は初めて依頼するパンディト、残りの3名は私たちの親族から男性が代表して5人が結集しました。
当日朝、大人たちは断食をし、祈祷の間のお茶休憩は2回ありました。万物の神々や惑星に関するマントラから始まり、畑で収穫した豆なども供物として捧げ、複雑な手順通りに進め、1時間が経過していきました。
パンディトの1人は3年前まではムンバイで学生生活を送ってたそうですが、その方の父が急逝し家業を継ぐために退学して実家に帰ったそうです。全く違う道へ歩むことになったきっかけは家族にしか分からないものだと思いますが、難解な祈祷ができるまでに父親の死後3年間の努力のほか、父親の生前の姿から自分の意識に及ばないレベルでも深い学習があったのだろうと思います。
護摩焚の最中に、マントラを後に続いて参加者に言うように指示があり、
जनान् नमामि" (Janān namāmi)という語句があり、 "私はこの方々にご挨拶します"という意味があるのですが、音が似ていたのか私の息子が「Germany〜(ドイツ)」と唱えたので、すかさずパンディトが「ドイツのことじゃないよ!」と突っ込んで一同大笑い。
護摩焚で捧げ物を火の中に投入できるのは、5人のパンディトやジャネーウの通過儀礼を受けた男性のみで、女性は1歩後ろの方から見るのみだったのですが、それでも炎が激しく眼球がダメージを受けそうなほどでした。
夕方4時頃に食事が振る舞われました。同じ山に住む近所の方々が、行事がある時に無償で食事や皿洗いの手伝いに来てくれることが定例です。
食器洗いのために来ていただいた女性は「今日父親が亡くなったが、火葬の式に行かずにこちらに来た」と。詳しくは聞きませんでしたが、言われなければわからないぐらい明るい表情だったので、生前にご尊父様と十分な繋がりがもてて親孝行されたのだろう、それでも今日は近所付き合いを優先して良かったのか?、と考えてしまいました。
さて、祈祷が終わった直後から、変化があったことは、息子の体の痛みが軽減したことです。9月に高熱を出してから後遺症なのか体力が消耗したのか手足の激痛が続き、自暴自棄になり拳で頭や体を叩くほどで、1日何時間もマッサージしてあげたり、病院巡りをしていましたが、血液検査やレントゲン結果からも原因がわからず、痛み止めも効かないのに、それしか頼るものがないから飲み続けるしかありませんでした。
学校を2ヶ月以上休んで名医の噂を聞いては、遠い病院まで通ったりしていました。直近で通った病院の医師は「これで治らんかったら医者辞めるわ!」と言いながら、他院と同じ薬を処方されたので、しばらく病院通いは辞めたほうがよいのかと悩んでいたところでした。
ほとんどの医師は米など食事制限を沢山課すのに、その医師は「お米でも、何でも食べたいもの食べたら?」という意見をもち、それが逆に病院での緊張を解く空気を出し、さすが人気の医師と言われるのがわかりました。
プージャや、名医の人間味のある会話で緊張がとけたり、自然治癒の力など、色んなお陰様で回復しつつあるのを実感しています。学校では鉛筆で書き続けるのは辛いそうですが、早退せず通えるレベルまでになりました。
他には、主人が人生の中心にしようとしているShrimad Bhagwat Katha(クリシュナの法話)のために、心強いスポンサーとの出会いもありました。
これはもう、連鎖する神の恵み?そう解釈しておこう^^
以上、インドの不思議についてご報告でした。
この記事を読んでくださった方にも年末年始、良いことが起こりますように!合掌🙏


